【日本初のグラフィックデザイナー】杉浦非水の魅力
はじめに
みなさん、
以下の絵を見たことはありますか?
『東洋唯一の地下鉄道 上野浅草間開通』愛媛県美術館蔵
日本史で一度は学ぶ、日本初の地下鉄開通時のポスターです。
(今の東京メトロ、銀座線ですね)
私はこのポスターから漂う、
「モダンさ」「高いデザイン性」
に心惹かれ、このポスターについて調べたことがあります。
教科書や便覧だと冒頭のポスターしか見ませんでしたが、他パターンもあります。
(上)『東洋唯一の地下鉄道 上野浅草間開通』
(下)『萬世橋まで延長開通 東京地下鉄道』
どれを見ても素晴らしい。
現代に通じるセンスです。
日本初のグラフィックデザイナー、杉浦非水
『杉浦非水像』 黒田清輝筆
⽇本におけるモダンデザインのパイオニアとして知られる杉浦⾮⽔(すぎうら・ひすい/1876〜1965年)は、愛媛県松⼭市に⽣まれました。
東京美術学校⼊学後は円⼭派の川端⽟章に師事して⽇本画を学んでいましたが、在学中にフランス帰りの洋画家・⿊⽥清輝がもたらしたアール・ヌーヴォー様式の図案に魅せられたことで、以後は図案家として活動しました。
明治41 年(1908)に三越呉服店に⼊社した⾮⽔は図案部初代主任をつとめ、昭和9年(1934)に退社するまで27年にわたって同店のポスターやPR誌表紙などを⼀⼿に担い、看板デザイナーとして活躍しました。
三越以外にも、⾮⽔の単なる「宣伝」の枠を超えた図案家としての幅広い活動から⽣み出された作品の数々は、現在でいう「グラフィックデザイン」の原点といえます。
なぜ魅力に惹かれるのか?
モダンさやデザインにより、非常におしゃれに感じているのはもちろんですが、
杉浦非水の作品に漂う、「国威掲揚」感にあると思います。
上記の鉄道についても、
「東洋初の地下鉄」
という国家の威信を懸けたプロジェクトのポスターなので、"帝都の意地"のようなものを感じます。
以下の三越のポスターも然りです。
(上)『東京三越呉服店 本店西館修築落成・新宿分店新築落成』国立美術館所蔵
(中)『銀座三越 四月十日開店 』
(下)『三越呉服店 春の新柄陳列会』愛媛県美術館蔵
一連の作品から
『我が国の生活文化水準は高まっているのだ』
そんなメッセージを伝えたい意志が感じられます。
商業デザインと言えど、上記のようなメッセージ性というのは、現代日本のアートではなかなか感じられない要素です。
その点に惹かれているのかもしれません。
(戦時中のプロパカンダ広告まで行くと魅力を感じませんけれども)
オススメの本
レトロなポスターに興味がある方はこちらの本がおすすめです。
全ページオールカラー、多岐にわたるポスターが載っています。
私はディスプレイラックに飾っています!
終わりに
私が生まれた時は既にバブルがはじけ、「失われた30年」が開始していました。
戦争は嫌ですが、戦前や戦後の「国を発展させよう!」という前に進もうとする勢いがある時代の雰囲気は憧憬します。
「明るいニュースがないかな」
と思う今日この頃。
今回は画像ばかりでしたね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!